死者たちの夜明け
映画『ドーン・オブ・ザ・デッド』を見てまいりました。
以前日記で書いた期待度では
期待度:★★★★
としておりましたが、実際の見た感想はといいますと…
『ドーン・オブ・ザ・デッド』 評価:★★★★
という、素晴らしい結果に!
地雷の匂いが漂いつつも、何故か惹かれてしまったこの作品。
恐らくは以前見に行った『ジェイソンVSフレディ』が面白かった為でしょう。
もともとは、78年に作られた『ゾンビ』という映画(監督:ジョージ・A・ロメロ)のリメイクなわけですが、内容的には大分変わっているみたいで。
このあたりは今作が初監督となるザック・スナイダーが、CMディレクター出身であるところも大きいのでしょう。
それでは、簡単にですが起承転結で映画の寸評をしてみたり。
起: 映画のタイトルバックが表示されるOPですが、さすがはCMディレクターといった所でしょうか、ただ単純にスタッフ&キャスト名を表示させません。 血文字で表紙されるスタッフ名、そして文字がかすれて消えると同時に挿入される映像。 世界中で事件がおきていることを報道しているものだと思われますが、画像が荒く自体が混迷している事を伝わってきます。 このあたりはなんとも憎い見せ方といいますか、途中ゾンビの呻き声や銃声が入るので嫌がおうにもテンションは上がり、 しかもほんの1秒ほどの映像がなんども入ってくるので、何が起こっているのやら観客は図ることが出来ません。 そして本編。ホラーは事件の発端をどう見せるかが肝なわけで、どんな伏線をはるのかとどきどきして見ていたわけですが… 開始三分、事件発生!!(伏線なし!!!) いきなりの展開が、主人公(看護婦)を追い立てアクシデントが連発、気がついた頃にはすっかり逃げ場がなくなるというこの展開。 ここまで不条理だと、なんと心地よいことか。 承: アクシデントから逃れ、なんとか他の生存者と合流。この辺はお約束ですね。 でもって、街から逃れられない事を悟った一行はショッピングモールに立て篭もることに。 図らずとも化け物の巣窟に入ってしまった作品はいくつも知っているのですが、自ら進んで建物に篭る展開は見たことが無かったのでかなり新鮮です。 ここで見せるのは、ゾンビとの戦いよりも人間たちの内面。 極限状態における人間の本能や理性の脆さといったものを、まざまざと見せ付けられます。 途中ニュースなんぞをTVでみたりして、ようやくある程度事件が見えてきます。 話が中盤に差し掛かり、合流する生存者が増えていくわけですが、裏を返せばクライマックスで死ぬ人間が増えるわけで、なんとも憎い展開。 途中に軽快な音楽が入って、ゾンビに囲まれた状況ながらもゴルフやチェスをして遊んでるシーンが入ったシーンに、おもわす「やられたっ!」と感じてしまいました。 転: いよいよクライマックス。一抹の希望を胸に、一同脱出をはかります。 このシーンのビジュアルはまさに圧巻。画面中を埋め尽くす、ゾンビ!ゾンビ!!ゾンビ!!!の群れ。 かつてこれほどのゾンビを見せつけた作品はあっただろうか?!いや無い!!(反語表現) 走る、飛ぶ、そして弾けるゾンビ。バイオハザードでもここまではやりませんね。 そして今まで貯めていた借金を清算するかのように、バタバタと死んでいく生存者たち。 予想はしていても、心臓に悪い展開です。 結: エンディングはネタばれになるので言明しませんが、ここでも監督は憎い演出をしておりまして。 一旦、拍子抜けするところでエンディングロールが流れて、映画が終わったのかと 思ってしまうのですが、ここでも映像がスタッフ&キャスト名と共に挿入されます。 ほとんどの映画はエンディングロールは、ただスタッフ&キャスト名を事務的に流すだけですが、こういう細かい演出はさすがハリウッドといった所ですね。 この映画、R指定されてるだけあって、かなり残酷な描写も多く、見る人を選ぶかもしれませんが、ホラーが大丈夫という人は是非見ることをお奨めします。 なんと言っても、陸上選手バリに走るゾンビは圧巻の一言。これだけは、実際に見てもらうのが一番ですね。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』 払っても良い値段:1500円
(実際は前売り券にて1250円)