富野由悠季、大いに吼える

機会があって、アニメ監督・富野由悠季氏の講演を聞く事が出来ました。


既に齢60を過ぎた禿頭のオジサンというのが、外見から来るイメージですが、その中身はとんでもない、熱い人でした。


先ずよく動く。身振り手振りを交え、檀上を右へ左へ。
伝えたい思いが強くなると自然とジェスチャーは出るとは言うものの、なかなかどうして至近距離で見ると圧巻です。


最初に富野氏から、「東京生まれの人は?では、関東生まれの人は?」 との質問がある。
「東京も日本の中では、1ローカルに過ぎない。だが、そのローカル性が重要なんです」
このことに関する説明は詳しくはなされなかったが、つまりは日本も世界の中ではローカルの一つであり、
またローカル=個々というのは、表現者として表現を行う際の自らの地盤が、ローカルである、という事ではないだろうか。


と、ここで、トラブル発生!!



「そこの寝てる奴!起きろッ!!!」


なんと、公演中に寝ている人間がいたのです。
公演をよくする人というのは、全く気にしないか、とても気にするかのどっちだとは思っていたが、富野氏は後者だったのか。
などと、思いつつ様子を眺めているが、事態はそれどころでは無くなってくる。
寝たいた人がなかなか起きなかったのもあるが、富野氏の声がでかい事。
窓ガラスどころか、聞いてる人間の腹にひびかんばかりの大声である。


「貴方には話を聞く資格は無い!出て行け!!」


うーん、厳しい言葉。でも、こういう場合寝てた人が、聞かせてくださいと謝れば…。


「前フリを聞いていない人に、この後聞かせる話はない!(机を叩きながら)」
「私は貴方に気分を害された。一度患ったものは、治らない(机を叩きながら)」

寝ていた人も、よほど公演を聞きたかったのか、なかなか引き下がらずに必死に喰らい付くが。


「ここまで言っても分からないか?!だったら、私は貴方を殴るぞ!(机を叩きながら)」
「暴力はいけない事かもしれないが。ここまで言っても出て行かず。貴方は、他の人にも迷惑をかけているんだ。
 そんな事も分からない人は。殴られても仕方が無い(机を叩きながら)」


ここでようやく寝ていた人は引き下がり退場していった。
………ううむ、想像していた以上に凄まじい。漫画ででてくる、ガミガミ爺さんなんてものじゃない。
久々に胃が縮まるような気分を味合う。
僕も公演とかで話を聞いてると、つい眠たくなってしまう性質だが、死にたくはないな、と思ってしまった(笑)


「私は、年甲斐もないことをしたとは思っていない。当然の事だと思っている」
「それに、今のような事(表現)が、ローカルの一つなのだから」


ううむ、面白い(笑)
大抵は、これだけ大声を出して激昂したならば、聴衆に謝るのが普通だが。
富野氏はそんな言葉は、まったく言わなかった。とはいえ、自分の行為を正当化しているわけでもない。(そもそも正当化は多少の非があるからするわけで)
怒られた人は気の毒としか言いようが無いが、個人的には非常に面白いものが見れたと思った。
正直、ガンダム作品その他の富野氏監督の作品にはあまり惹かれず(見ていなく)、
公演を聞くのも興味半分だったのですが、俄然公演を聞かねば!!という気分になる。
(個々で邪推をすると、もしや怒ったのも、怒られた人も、演技だったのか?
 とちょっとだけ思ってしまったが、多分それは無いだろうと…)


と、本題に入る前に、非常に熱くなってしまう場内。
一体本題はどうなるのか?と言ったところで、長くなったので続きはまた明日(笑)